こんにちは。
パニック障害専門カウンセラーの三木ヒロシです。
パニック障害を治していく方法のひとつに「暴露」というメソッドがあります。
「暴露療法」という名称が有名ですが、これははじめてパニック発作を起こしたところ、苦手と感じるところ、出来れば避けたいところなどにあえて身を置き身体を慣らし、思考と感情を落ち着かせていくというものですね。
広場恐怖の改善に大きな効果を期待できるものです。
パニック障害は苦手なところを避ければ避けるほど苦手が強くなってしまい改善に時間がかかってしまいますが、一歩勇気を出して踏み込んでみると改善が早まっていきます。
今回は、広場恐怖改善に最適な段階的にできる暴露の方法、ちょっとしたポイントなどお話していきますね。
目次
暴露に効果的なステップとは?
どのような改善法もそうですが、効果的なステップというものがあります。
これを知らずに進めてしまうと不安や怖さが強くなってしまったり苦手が強くなってしまうなど良いことはありません。
無理をせず段階的なステップを把握し、自分のペースで進めていくことが大切なんですね。
段階的なステップとしては、
1、苦手な場所や空間を頭のなかでイメージし、何度も思い浮かべる
2、苦手な場所や空間の近くまで行ってみる
3、苦手な場所や空間に行き身を短時間置いてみる
4、できれば毎日苦手な空間や場所に身を置き思考と感情を慣らす
5、ある程度慣れたら約1週間間を空けて苦手な場所や空間に行ってみる
6、苦手な場所に身を置いた体験を思い出し思考と感情に定着させる
という流れなんですね。
では、実際に上記ステップをひとつひとつ解説していきましょう。
1、苦手な場所や空間を頭のなかでイメージし、何度も思い浮かべる
まずはあなたが苦手と感じる場所や空間を頭のなかでイメージし、イメージのなかで身体を慣らしていきましょう。
近場のスーパーでしょうか、映画館でしょうか、美容室でしょうか、電車やバスと言った乗り物でしょうか、人により苦手な場所や空間はそれぞれですよね。
できれば目を閉じ、場所や空間を思い出しながらその場にいるような感覚で身を置いてみましょう。
どんな音が聞こえますか?どんな雰囲気ですか?どんな人がいてどんな物があるのでしょうか?
焦らずひとつひとつ思い出しながらイメージし、しばらくそのイメージに中に身体を預けていきます。
最初は不安や怖さが先行するかもしれないので1分ほど、慣れてきたら5分~7分ほど苦手な場所をイメージします。
頭のなかにイメージに慣れ、頭と心が追い付いてきたら次のステップに進みましょう。
2、苦手な場所や空間の近くまで行ってみる
次のステップは実際に苦手と感じる場所、空間近くまで行ってみましょう。
苦手な場所や空間に近づくポイントは、ゆったり吐いてゆったり吸う、という呼吸をくり返しおこなうことです。
呼吸が浅いと身体が拒否をおこしやすくなり、なかなか前に進むことができませんので、このステップからゆったりした深い呼吸を心掛けていきましょう。
ここのステップで重要なことは、あくまで近くまで行くだけということです。
実際の苦手な場所や空間に身を置かず、5メートルでも100メートルでも近づけるところまで行き、そこから苦手な場所や空間を感じる、というだけです。
あくまで近くに行くだけ、実際その場に身を置くのは違うステップでおこないますので、近くまで行き身体が鳴れたらそこを離れる、というのを数日間おこなうのが良いでしょう。
慣れは個人差がありますので、あなたのタイミングで「身体が慣れてきたかも」と感じたら、次のステップに進みましょう。
3、苦手な場所や空間に行き身を短時間置いてみる
上記2のステップでは苦手な場所や空間の近くまで行くことに慣れるものでした。
ここからは実際に苦手な場所や空間に身を置く、身体を預けるステップに入っていきます。
まずは苦手な場所や空間まで行きましょう。近くまで行くのと実際にその場に行くのでは感覚が違いますので、どうしてもダメだな、と感じたら引き返してOKです。
呼吸はどうでしょうか?浅くなっていませんか?ゆったりした深い呼吸をいつでも心掛けてくださいね。
あくまで無理はせず、実際の場所に行くのがまだキツイ場合はステップ2に戻り今度は苦手な場所への距離を近づける練習をしていきましょう。
10メートル先まで近づけたら今度は約5メートル先まで距離を近づけるなど、それをしばらく反復していくことがおすすめです。
さて、苦手な場所や空間に行けるようでしたら実際に身を置き、身体をその場に預けてみましょう。
行くだけ行って引き返しても良いですが、できれば数分から数十分はその場に身を置くのがベストですね。
数分、数十分と身を置くことができたらその場にいれた感覚を覚えておき、その場を離れましょう。
実際に苦手な場所や空間に数分間、数十分間身を置けたのはすごいことです。行けたという気持ちを自信に変えて次のステップに進んでいきましょう。
4、できれば毎日苦手な空間や場所に身を置き思考と感情を慣らす
ステップ3まで進めたら、あとは苦手と感じていた場所や空間に慣れていくだけですので。
行けたという感覚を大事にしたいので、できればこれからは毎日苦手な場所や空間に身を置き、思考と感情を慣らしていくことが大切です。
人によっては今日は行けたけど明日はどうなんだろう・・・といまひとつ自信が持てないかもしれません。
一度できたことは身体が生涯覚えていますので、頭で考え過ぎず行けたという自覚、身体を信じることがとても大切です。
次の日になったら昨日と同じ、苦手な場所や空間に行き改めて数分から数十分身体を預けましょう。どんな音が聞こえるか、どんな雰囲気なのか、置いてある物はなにか、など記憶にとどめておくのが良いですね。
くり返しくり返し暴露していくことでその場所の空気や感覚が身体に馴染んでいきますので、そうなったら苦手意識はどこかのタイミングで外れていきます。
もし苦手な感覚が外れないと感じていても大丈夫です。暴露をくり返していくうちに「そういえば苦手だったな」と後付けで思い出すときが来ますので。
体感覚は個人差がありますので、焦らずに進めていきましょう。
5、ある程度慣れたら約1週間間を空けて苦手な場所や空間に行ってみる
くり返しの暴露に慣れてきたら今度は思い切って1週間ほど苦手な場所に行かず、行く間隔を開けましょう。
ステップ4ではくり返し暴露をしてきたので身体は十分苦手な場所に慣れています。
今度はわざと行く間隔を開けることでしっかりと行けた感覚を身体に落とし込んでいく、というのがポイントです。
毎日くり返し苦手な場所に行っていたので、もしかしたら身体がそわそわするかもしれませんね。もしくは「時間を空けてしまってまた行けるのかな・・・?」と不安に思うかもしれません。
ここでも改めてお話しますが、行く時間が空いても身体は確実に行けた感覚を覚えており、それはどこのタイミングでも発揮させることができます。
ここでも思考に振り回されず、自分の身体、体感覚を信じることが重要ですね。
さて、約1週間が過ぎたら改めて苦手な場所や空間に行き、再度その場に身を置き身体を預けましょう。
以前くり返し行っていたときと感覚が違うかもしれませんが、それは問題ありませんので。その日の体調や身体感覚によって感じかたは異なりますので、問題はなにもありませんので。
改めて苦手な場所に行ってみた感覚、身を置いてみた感覚を覚えておき、再度身体に馴染ませていきましょう。
6、苦手な場所に身を置いた体験を思い出し思考と感情に定着させる
おめでとうございます、ステップ5まで進めたのであれば、もう苦手だった場所や空間を克服できたと言っても過言ではありません。
ステップ6、最後の仕上げは苦手な場所に身を置いた体験を思い出し思考と感情に定着させることが大切です。
普段の生活のなかで毎日でなくても良いのですが、時折苦手な場所や空間に行った感覚、雰囲気、空気など思い返してみましょう。
ステップ1~ステップ5まで実践してきたあなたは苦手な場所や空間が身体に馴染んでおり、いつでもその感覚を思い出すことができます。
思い返すことで「行けたんだ」という気持ちを改めてセットし、経験値として自信につなげていきましょう。
日々のなかで思い出し定着させること、そしてどこかのタイミングで苦手だった場所に行き、その雰囲気や空気を再体験し楽しむくらいの余裕が大切です。
ここまで乗り越えられたら、きっともう大丈夫。
もし違う場所で苦手なところがあったら、今度はそちらにシフトチェンジして再度トライしていきましょう。
改めて今回のステップをこなしてみることで、またひとつ新たな世界が見えてくるでしょう。
終わりに
今回は苦手な場所や空間を克服するのに有効な「暴露」というものに触れてきましたが、いかがでしたか?
頭ではわかっていてもなかなか実行に移せない、ということもあるでしょう。
そんなときはまず今回のステップ1だけでもくり返してみるのが良いかもしれません。
大切なことは「一歩ずつの行動」であり、早く進むことでも無理をして頑張って進むことでもありませんので。
焦らず、あなたのペースでできることからまずはスタートしてみましょう。
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